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効率的なISO内部監査実施法

効率的なISO内部監査実施法

当社では毎年12月にISO14001・ISO9001統合内部監査を実施しています。この内部監査は、審査機関の定期審査と同じ形態で実施しています。
審査機関の定期審査は、品質環境マニュアルに沿って、サンプリングで一連のチェックを行うので、一部署当たり3時間の審査をしても、指摘事項はあまり出ません。
それに対し当社の内部監査は、弱点が予め分かっているので、そこに集中して一部署当たり2時間、行います。よって、審査機関より効率的な監査となっています。その監査法を紹介します。

内部監査のテーマを明確にする

今年の①内部監査は何をテーマに実施するのか②監査終了後に、以前よりどのような変化をもたらせたいのかを決め、実行することが重要です。これを決めずに、年1回の定例行事として内部監査を実施すると、無駄な時間を費やすことになります。

第1ステップ

当社は2015年版ISOが発効されてから、「実務に即したISOに変革」をテーマに業務遂行してきました。最初の5年間は、"実務に即したISOとは何か"を各部のISO担当者に説き続けました。内部監査では、審査機関の定期審査で聞かれることを同様に聞き、実務と乖離した回答や書式が出てきた時は、それを指摘し是正することに徹しました。ISO担当者の理解を深めるため、審査で聞かれる一連の質問事項と模範解答事例集も作りました。最近の内部監査で、やっと全部署から実務に即した回答や、実務資料を元に自分たちの活動を説明できるようになってきました。

〈「実務と乖離した回答」と「良い回答」の事例〉

質問 : 労務部の品質環境目標は何ですか?
回答 : (悪い例)労務部は品質や環境に直接関係ないので目標はありません。あえて言えば、昼休みに事務所の消灯をしていることくらいですかね~
  (良い例)労務部は離職率の改善に取り組んでいます。離職率を低くすれば、職場の技能レベルが向上し生産効率(品質向上、ロス低減によるエネルギー効率向上)が上がります。

第2ステップ

「実務に即したISO」の概念が理解できてきたら、次は弱点に集中した監査に切り替えていきます。今年の内部監査は、"3次文書管理"についてチェックしました。3次文書とは、実務で使っている操業基準書、安全作業基準書、品質管理基準書等のことです。これらはキングファイルに綴じ、現場控室等で保管管理されています。基準書は職場のノウハウが代々、受け継がれていく大切な文書です。新人が見ても分かり易く整理されていないと、効率よく職場能力を上げていくことができません。日頃、当社はここに弱点があると感じていたので、今年度の重点テーマにしました。

〈チェックのポイント〉

  • キングファイルを開けると、綴じている文書の目次があるか。それぞれの文書の制定・改訂日が整理された一覧となっているか。(3次文書管理台帳が整備されているか。)
  • 文書毎に改訂内容が履歴管理されているか。(改訂履歴ページがあるか。)
  • 改訂毎に関係する者に周知されているか。(周知記録があるか。)

内部監査の結果、不備がなかった部署は全体の1割以下でした。なぜ上記が必要なのかを説きながら内部監査を進め、各部には理解して頂けたと思っています。このような内部監査を通じて、自社のレベルアップを毎年、少しずつでも図っていきます。

適切な内部監査員の選任

内部監査員の質で、内部監査の効果は大きく変わります。ISOに少しでも関わり興味をもってもらうという目的であれば、多くの内部監査員を選任し、各部を組み合わせ相互監査してもらうのも一つの手です。しかし、この監査法は一般的にざっくばらんなものとなり、効果は上がりません。(ただの監査ごっこになります。)
内部監査は事務局が行い、①ISO担当者への教育の機会とする②同じ目でチェックし指摘を行う方が、指摘内容が平準化され会社のレベルが上がります。監査員としての責任感も全く違います。会社のレベルが上がった頃に、相互監査を導入するなら事務局監査と同等の効果が得られるでしょう。内部監査の選任は、自社のISOの成長に合わせて、変えていくことをお勧めします。