ISOconsulのブログ

企業の環境実務者必見!

厚手衣類の送料を200円にする方法(メルカリ)

 

メルカリで衣類を販売し利益を上げるには、送料を抑える必要があります。特に衣類は売価が高いとなかなか売れないので、送料を下げることが必須になります。送料の最低料金は約200円(A4サイズで厚み3cm以下)です。これを超えると、次は約750円(60サイズ)になります。この差550円は利益に大きく影響しますよね。厚手の衣類は厚み3cm以内に梱包するのが最大の課題です。メルカリ経験3年の私がフリースやジーンズ等の厚手衣類の送料を約200円に抑えるコツを紹介します。

  1. 衣類の厚みに適した圧縮袋を活用しよう
  2. 安価な梱包資材を選定しよう
  3. 郵便ポストを活用しよう

1.衣類の厚みに適した圧縮袋を活用しよう

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効率的なISO内部監査実施法

効率的なISO内部監査実施法

当社では毎年12月にISO14001・ISO9001統合内部監査を実施しています。この内部監査は、審査機関の定期審査と同じ形態で実施しています。
審査機関の定期審査は、品質環境マニュアルに沿って、サンプリングで一連のチェックを行うので、一部署当たり3時間の審査をしても、指摘事項はあまり出ません。
それに対し当社の内部監査は、弱点が予め分かっているので、そこに集中して一部署当たり2時間、行います。よって、審査機関より効率的な監査となっています。その監査法を紹介します。

内部監査のテーマを明確にする

今年の①内部監査は何をテーマに実施するのか②監査終了後に、以前よりどのような変化をもたらせたいのかを決め、実行することが重要です。これを決めずに、年1回の定例行事として内部監査を実施すると、無駄な時間を費やすことになります。

第1ステップ

当社は2015年版ISOが発効されてから、「実務に即したISOに変革」をテーマに業務遂行してきました。最初の5年間は、"実務に即したISOとは何か"を各部のISO担当者に説き続けました。内部監査では、審査機関の定期審査で聞かれることを同様に聞き、実務と乖離した回答や書式が出てきた時は、それを指摘し是正することに徹しました。ISO担当者の理解を深めるため、審査で聞かれる一連の質問事項と模範解答事例集も作りました。最近の内部監査で、やっと全部署から実務に即した回答や、実務資料を元に自分たちの活動を説明できるようになってきました。

〈「実務と乖離した回答」と「良い回答」の事例〉

質問 : 労務部の品質環境目標は何ですか?
回答 : (悪い例)労務部は品質や環境に直接関係ないので目標はありません。あえて言えば、昼休みに事務所の消灯をしていることくらいですかね~
  (良い例)労務部は離職率の改善に取り組んでいます。離職率を低くすれば、職場の技能レベルが向上し生産効率(品質向上、ロス低減によるエネルギー効率向上)が上がります。

第2ステップ

「実務に即したISO」の概念が理解できてきたら、次は弱点に集中した監査に切り替えていきます。今年の内部監査は、"3次文書管理"についてチェックしました。3次文書とは、実務で使っている操業基準書、安全作業基準書、品質管理基準書等のことです。これらはキングファイルに綴じ、現場控室等で保管管理されています。基準書は職場のノウハウが代々、受け継がれていく大切な文書です。新人が見ても分かり易く整理されていないと、効率よく職場能力を上げていくことができません。日頃、当社はここに弱点があると感じていたので、今年度の重点テーマにしました。

〈チェックのポイント〉

  • キングファイルを開けると、綴じている文書の目次があるか。それぞれの文書の制定・改訂日が整理された一覧となっているか。(3次文書管理台帳が整備されているか。)
  • 文書毎に改訂内容が履歴管理されているか。(改訂履歴ページがあるか。)
  • 改訂毎に関係する者に周知されているか。(周知記録があるか。)

内部監査の結果、不備がなかった部署は全体の1割以下でした。なぜ上記が必要なのかを説きながら内部監査を進め、各部には理解して頂けたと思っています。このような内部監査を通じて、自社のレベルアップを毎年、少しずつでも図っていきます。

適切な内部監査員の選任

内部監査員の質で、内部監査の効果は大きく変わります。ISOに少しでも関わり興味をもってもらうという目的であれば、多くの内部監査員を選任し、各部を組み合わせ相互監査してもらうのも一つの手です。しかし、この監査法は一般的にざっくばらんなものとなり、効果は上がりません。(ただの監査ごっこになります。)
内部監査は事務局が行い、①ISO担当者への教育の機会とする②同じ目でチェックし指摘を行う方が、指摘内容が平準化され会社のレベルが上がります。監査員としての責任感も全く違います。会社のレベルが上がった頃に、相互監査を導入するなら事務局監査と同等の効果が得られるでしょう。内部監査の選任は、自社のISOの成長に合わせて、変えていくことをお勧めします。


製紙スラッジの有用性

製紙スラッジの有用性

製紙スラッジとは、紙を作る工程で発生する廃棄物です。製紙スラッジは通常、ボイラーで焼却処理し減容化後、セメント原料や再生砕石に再利用したり、埋め立て処分されます。紙の生産に比例し大量に発生するので厄介者扱いされますが、近年、着目されているのが製紙スラッジに含まれるカルシウム成分です。 本コラムでは、カルシウムに着眼した製紙スラッジの有用性を紹介します。

製紙スラッジのカルシウムの起源

製紙工場は、工場毎に製造する紙の種類が決まっています。紙の種類は、段ボール原紙、新聞用紙、印刷用紙、トイレットペーパー等、様々です。その中で、カルシウムを原材料に使うのは、新聞用紙、印刷用紙です。紙の表面に塗ったり混ぜ込むことで、紙表面の平滑性を上げ文字を書きやすくしたり、印字の裏抜けを防止します。

カルシウムは紙を抄く過程で水と一緒に排水され、製紙スラッジに混入します。 また、段ボール、新聞、チラシは市場から古紙として回収され、紙の原料に再利用されます。古紙パルプを生産する過程で、微細な古紙繊維と一緒にカルシウムが排水され、製紙スラッジに混入します。

よって、段ボール原紙、新聞用紙、印刷用紙を製造する工場の製紙スラッジは、カルシウムが豊富に含まれています。

カルシウム含有 製紙スラッジの有用性

1.廃棄物焼却炉 排ガスのダイオキシン抑制剤として利用

廃棄物焼却炉はダイオキシン類対策特別措置法で、排ガス中のダイオキシン類濃度基準が定められています。この基準を順守するため、維持管理基準で燃焼条件(燃焼温度800℃以上、炉内滞留時間2秒以上、排ガス集塵機前温度200℃以下、排ガスCO濃度100ppm以下)が決められています。しかし、これを順守しても、塩素濃度が高い燃料を燃やした時は、排ガス中のダイオキシン類濃度基準を超過するケースがあります。そのため、廃棄物焼却炉には、排ガス集塵機前に活性炭や生石灰を吹き込む設備が設置されています。 カルシウム含有 製紙スラッジは、塩素濃度が高い燃料と一緒に燃焼させると、排ガスに生石灰を吹き込むのと同等の効果が得られます。

2.焼却灰をセメント原料に利用

セメント原料にカルシウムは不可欠です。従来、カルシウムは石灰岩から製造していましたが、近年は資源の減少で縮小しています。そこで着目されてきたのが、製紙スラッジ焼却灰の含まれるカルシウムです。セメント会社にとって、製紙スラッジ焼却灰は、灰とカルシウムの両方が原料になるので、必要不可欠なものです。

3.古紙パルプ製造工程の製紙スラッジよりカルシウム分離

製紙スラッジが発生する工程で、最もカルシウム濃度が高いのは、古紙パルプ製造の脱インク工程です。この排水のみ分離し脱水して焼くと、灰分としてカルシウムが残ります。再生カルシウムとして様々な用途に使えます。

4.二酸化炭素吸収材

近年、二酸化炭素地球温暖化に影響するとして大きな問題になっています。カルシウムは二酸化炭素を吸収し、炭酸カルシウムとして固定化する機能もあります。

PRTR法改正に伴う移動・排出量算出法

PRTR法改正に伴う移動・排出量算出法

2023年4月からPRTR法の第一種指定化学物質が462→515物質に増えました。届出要件に該当する事業所は、2024年6月に前年度(2023年4月~2024年3月)の移動・排出実績を、都道府県知事へ届出しなければなりません。届出書に記載する移動・排出量の算出方法は、環境省が発行するPRTR届出ガイドラインに代表例が記載されていますが、代表例以外の物質が多く、算出方法に困っている事業所が多いのではないでしょうか。本ブログではその方法を紹介します。

※届出要件に該当する事業所------ 届出対象24業種。常時雇用従業員21人以上。第一種指定化学物質を1t/年以上(特定第一種指定化学物質は0.5t/年以上)使用。

移動・排出量の算出方法(薬品)

1.届出対象物質の選定

事業所で使用している薬品のSDSから、第一種指定化学物質を1%以上(特定第一種指定化学物質は0.1%以上)含有する薬品を抽出します。次に、その薬品の年間使用量を調べます。含有濃度と年間使用量を掛け算し、年間取扱量を算出します。これが1t/年以上(特定第一種指定化学物質は0.5t/年以上)だと届出対象になります。

2.移動・排出量の算出方法

PRTR法の届出書に記載するのは、PRTR物質が大気や水質、廃棄物へ移動・排出した量です。物質によって、取扱量1t/年以上であるが、使用過程で全て分解され、大気や水質への排出量はゼロのものもあります。その場合、届出書には排出量ゼロと記載します。排出量ゼロでも届出は必要です。 薬品を使用している事業者は、PRTR物質が使用過程で分解や変異するのか、また、その物質が自社の排水処理設備(沈殿槽や曝気槽等)で除去される性質があるのか、分からない場合がほとんどです。まず、製造メーカーに知見を聞いてみましょう。メーカーに知見があれば、その除去率を反映させ、大気や水質への排出量を算出しましょう。

移動・排出量の算出方法(排ガスや排水中の有害物質)

1.届出対象物質の選定

大気汚染防止法水質汚濁防止法ダイオキシン類対策特別措置法等で測定が義務付けられており、PRTR物質に該当するものが届出対象です。法的義務がないのに測定した結果は届出不要です。例えば、ダイオキシン類対策特別措置法の特定施設(廃棄物焼却炉)から排出する排ガスのダイオキシン濃度は、年1回以上の測定が義務付けられているので、届出しなければなりません。木くずやRPFを燃料としたバイオマスボイラーは、ダイオキシン類対策特別措置法の対象施設ではないので、ダイオキシン濃度を測定していても、届出不要です。この線引きをはっきりさせておかないと、不要な届出をしてしまいます。

2.移動・排出量の算出

測定結果はPRTR物質の濃度なので、それに排ガス量や排水量を掛け、排出量を算出しましょう。移動量は、産廃中に含まれるPRTR物質(PRTR法に該当する有害物質)が該当します。例えば、廃棄物焼却炉の焼却灰は、産廃処分業者に処理委託するので、PRTR物質が事業者から産廃処分業者に移動することになります。PRTR物質濃度に産廃委託量を掛け、移動量を算出しましょう。

行政による届出内容のチェック

上記の算出方法で6月末までに届出書を作成し、管轄の保健所へ提出します。その後、国の専門機関がチェックします。届出内容に疑義があると、4カ月後くらいに問い合わせがあります。新規物質を届出し、量が多いとチェックが掛かるようです。当社の例では、製造設備の洗浄に使うスケールコントロール剤の成分がPRTR物質に該当したので届出したところ、苛性ソーダと混合使用すると届出対象外の物質に変異すると教えて頂き、排出量ゼロで修正届を行いました。各事業所で可能な限り調査して届出書を作成しますが、PRTR物質の化学反応までは分かり兼ねる部分があります。最終的には、このような国に指導を仰ぎながら、届出精度を上げていくしかないようです。

PRTR物質算出方法の課題

上記のとおりPRTR物質算出方法の一例を紹介しました。国内のPRTR届出対象の事業所は、環境省ガイドラインを参考にするものの、特に薬品については、ガイドラインに掲載されていない事例が多く、算出に苦慮しています。届出数量が少ないと、国のチェックも掛からないので、前任者が算出した方法が正になっている事業者が多いのではないでしょうか。保健所に聞いたところ、同じ算出方法で時系列比較した時に、低減できていることがPRTR法の意義なので、算出方法の正否は問わないようです。本法の目的はPRTR物質を減らすことなので、その見解も一理ありますね。

仕事を増やさないISO14001要求事項の解釈事例

仕事を増やさないISO14001要求事項の解釈事例

環境監査は、審査機関によるISO14001審査の他、取引先から受ける場合もあります。質問される内容は、どの監査もほぼ同じです。監査員に見せる資料は、実務資料を使わなければ、監査前の資料チェックが負担になるし、どこかでボロが出てしまいます。 また、監査の受け答えを誤ると、是正処置として次々に余計な資料を作る羽目になり、負のスパイラルに入ってしまいます。 ISO要求事項をどのように解釈すれば、監査を楽に受けられるのか、その事例を紹介します。

環境教育に関する解釈事例

ISO14001監査で、従業員の環境教育に関する質問が必ずあります。まず、社内で何を環境教育と位置付けるのか、はっきりさせておかなければなりません。環境教育の定義を間違えると、負のスパイラルに入ってしまいます。

●悪い例

環境教育とは、大気、水質、廃棄物等の法令教育、節電や節水等の省資源化教育等が該当すると考えがちです。これを起点にすると、4月に大気教育、5月に水質教育、6月に…、というスケジュールを立て、次に4月に向け誰かが大気教育の資料を作成するという余分な業務が生じます。このパターンの場合、教育資料を作る人の負担が大きく長続きしません。また、一律、大気教育をしても、少なからず、一部の受講者は教育内容とのミスマッチが起こり、無駄な時間を過ごしてしまいます。

〇良い例

環境教育の「環境」という枠を広げ、従業員一人ひとりが健全に業務を行うための教育と考えましょう。そのために会社が必ず行う教育に、以下があります。

  1. 新入社員、転入社員教育
  2. 作業基準書教育
  3. コンプライアンス教育

教育は必要な人に、必要な教育を行うのが基本です。新入社員や転入社員に必要な教育カリキュラムは会社や各部にあるはずです。各職場に配属されると、そこで作業するための基準書教育があるはずです。コンプライアンス教育は幅が広く、①飲酒運転は止めましょうというような社会生活を送るための基本教育もあるし、②製造現場に配属された従業員に、廃棄物処理法に基づいたゴミの分別教育を行う等もあります。①と②は対象者が違います。

監査では、上記1~3を教育と定義していることを、最初に監査員に伝えましょう。その次に、実際に使用している教育計画表や記録を見せて、説明しましょう。上記1~3を一元化したカレンダー式の年間スケジュールは不要です。新入社員は毎年4月に入社するので、その時が教育時期です。作業基準書教育は、基準書が改訂になった時が教育時期です。コンプライアンス教育として、年1回、廃棄物処理法の教育をすると決めている場合は、年間の環境保全活動計画等の中に、そのように記載しておけば、それが教育計画になります。

既に上記の良い例のような教育体系があるのに、ISO事務局がそれをISO要求事項に合致していることを理解できておらず、監査員に指摘され是正処置として、悪い例のような教育体系を改めて作ってしまっているケースがあります。如何にISO要求事項の趣旨を読み解き、自社の実務と結び付け、審査対応できるようにするのか、ISO事務局の腕の見せ所です。

 

 

廃棄物焼却炉のダイオキシン管理

廃棄物焼却炉のダイオキシン管理

廃棄物の定義は「不要なもの」であり、それを焼却する施設は廃棄物焼却炉となります。廃棄物焼却炉は、行政より廃棄物処理施設の許可を取得しなければ運転できません。許可を要する廃棄物焼却炉は、以下の2種類に分類できます。

  • ごみ焼却施設 --- 焼却能力量200kg/時以上、又は火格子面積2m2以上
  • 産廃焼却施設 1)汚泥焼却施設 焼却能力5m3/日超、200kg/時以上,又は火格子面積2m2以上 2)廃油焼却施設 焼却能力1m3/日超、200kg/時以上,又は火格子面積 2m2以上 3)廃プラ焼却施設 焼却能力100kg/時以上,又は火格子面積 2m2 以上 4)廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の焼却施設 5)産業廃棄物の焼却施設 焼却能力200kg/時以上,又は火格子面積 2m2以上

廃棄物焼却炉は、廃棄物処理法の他、大気汚染防止法、水銀汚染防止法、ダイオキシン類対策特別措置法で定められた基準を順守し、環境中に排出する排ガスや灰中の汚染物質を法令基準値以下で管理する必要があります。この中でも、最も神経を使うのがダイオキシンです。ダイオキシンは排ガスと灰の両方に法令基準値があります。測定結果が出るまで1カ月間程度、費用も数十万円掛かるので、年1~2回くらいしか測れません。また、法令基準値を超えてしまった時の対処法が非常に難しいのが実状です。本コラムでは、その対処法を紹介します。

排ガス中のダイオキシン濃度 法令基準値 超過時の対処法

ダイオキシン測定に時間が掛かるので、廃棄物処理法ではダイオキシンが排ガス中に残留しない焼却炉の運転基準(維持管理基準)が定められています。また、大気汚染防止法で排ガス中の塩化水素濃度も定められています。基準は以下です。

廃棄物処理法 廃棄物焼却炉 維持管理基準〉

①炉内炉内温度800℃以上で、炉内滞留時間2秒以上 ②集塵機前の排ガス温度は200℃以下に急速冷却 ③排ガス中のCO濃度100ppm以下 ④ダイオキシン濃度が基準値以下になるよう焼却

大気汚染防止法の基準〉

  • 排ガス中の塩化水素濃度700mg/Nm3

上記①~③の燃焼条件と、大気汚染防止法の基準を守れば、④を順守できる訳ではありません。概ねクリアできるという目安です。ダイオキシン濃度は実際に測定してみなければ分からないのが実状です。

ダイオキシン類対策特別措置法の排出基準値は、下表のとおり廃棄物焼却炉の焼却能力と設置年月で基準値が変わります。2000年1月15日以降に設置した焼却能力4t/時以上の廃棄物焼却炉が最も厳しい値となります。この法律は大気汚染防止法に紐づいています。

ダイオキシン類対策特別措置法の基準〉

廃棄物焼却炉
焼却能力
2000年1月14日以前 (単位:ng-TEQ/Nm3 2000年1月15日以後 (単位:ng-TEQ/Nm3
4t/時以上 1 0.1
2~4t/時未満 5 1
2t/時未満 10 5

0.1ng-TEQ/Nm3は、かなり厳しい値です。廃棄物処理法の維持管理基準を順守していても、塩素含有量が多いRPF等を燃料に使うと超過する可能性があります。超過リスクがある場合は、集塵機前の煙道で活性炭や生石灰を吹き込む等の追加対策が必要です。

生石灰を吹き込む代替え措置として製紙スラッジを使う方法もあります。

万が一、測定でダイオキシン濃度が法令基準値を超過してしまった時は、速やかに管轄行政に想定される原因と対策を報告しましょう。法令基準値超過なので、行政の対応もやや厳しいものになります。恐らく、対策後のダイオキシン測定で、法令基準値以下であることを確認できるまで、廃棄物焼却炉停止を求められるでしょう。そうならないように、ダイオキシン濃度測定時の炉のコンディションには細心の注意を払う必要があります。

 

灰中のダイオキシン濃度 管理型埋立て処分 基準値超過時の対処法

焼却灰(燃えがら、ばいじん)を埋立て処分する場合、ダイオキシン類対策特別措置法で、管理型埋立て処分場で処理してよいダイオキシン濃度基準が3ng-TEQ/g以下と定められています。これを超えると、特別管理産業廃棄物となり、管理型埋立て処分場では処理できません。

しかし、ダイオキシン測定結果が出るまで1カ月掛かるので、工場構内に焼却灰を仮置きする場所もなく、過去の測定で3ng-TEQ/gを超えていない焼却灰は、現在も超えていないことを前提に、先に管理型埋立て処分場で処理しているのが実状です。

結果が出た時に、基準値を超過していると厄介なことになります。管轄行政に報告すると、埋立て場所を特定し、掘り返すよう求められます。

そうならないよう、測定する焼却灰は複数箇所から採取しバラツキを少なくしましょう。従来の測定で、ダイオキシンが高めに出ている場合は、結果が出るまで仮置きしておく。どうしても先に処分せざるを得ない場合は、特別管理産業廃棄物とみなして処分するようにしましょう。

ちなみに、一般廃棄物のごみ焼却施設の灰は、有害物質が溶出しない処置をしなければ、埋め立て処分できません。産廃焼却炉の灰より厳しいので注意しましょう。

製紙工場の節水対策

製紙工場の節水対策

製紙は水を大量に使う産業で、紙1トン作るのに100m3の水が必要と言われています。しかし、近年、地球温暖化で日本でも雨量が少なくなってきており、水不足リスクが高まってきています。リスク回避のため、製紙工場で一般的に行われている節水対策を紹介します。 衛生用紙と段ボール原紙を並抄している工場は、紙1トン作るのに使用する水量を50m3以下に抑えることができます。

製紙工場で使用している水の種類

製紙工場で使用する水は、主に以下の3種類があります。当然、水の綺麗さは1>2>3で、使用比率もこの順です。綺麗な水の方が、品質の良い紙(汚れ欠陥が少ない)が製造でき、抄紙薬品の効きも良くなります。また、水は機械の冷却にも使われており、綺麗な水の方が水温が低く、冷却水詰まりも少ないので、機械を正常に保てます。2、3は紙の品質や機械保全面を考慮し、場所を限定して使う必要があります。

  1. 工業用水(ダム水、河川水、地下水等)
  2. 混合水(上記1と3を混ぜた水)
  3. 再生水(海や河川に放流する浄化済の排水)

紙の種類に応じた水の使い分け

一般的な紙の種類は、以下のようなものがあります。綺麗な紙の順はa>b>c>dです。綺麗な紙ほど、綺麗な水で製造する必要があります。よって、aの製造には、上記の「1.工業用水」を使います。dの製造には「3.再生水」を多く配合した「2.混合水」を使います。汚れた水で綺麗な紙を生産すると、水の汚れが紙に付着し不良品になってしまうので、このような使い分けを行います。

  1. 衛生用紙(トイレットペーパー、ティシュー等)
  2. 洋紙(コピー用紙、チラシ等の印刷用紙)
  3. 新聞用紙
  4. 段ボール原紙

多品種製造工場での水の再利用法

1つの工場で上記a~dの紙を製造すると、水を再利用し易くなります。綺麗な紙(a.衛生用紙)を生産する工程からは、綺麗な排水が出ます。この排水は低グレードの紙(d.段ボール原紙)を製造する用水に利用できます。段ボール原紙の原料は90%以上、市場から回収された段ボール古紙が使われるので、紙に小さなチリが目立ちます。よって水の汚れもこのチリに紛れ、目立たなくなるのです。 多品種を製造する工場は、紙1トン生産するために使用する用水使用量は50m3以下になります。 水の再利用イメージは下図のとおりです。

製造工程の冷却水は分離回収

製造設備の機械には、多くの冷却水を使います。これらは、抄紙機の排水と一緒にせず、分離してダム水同等として利用します。排水処理設備の負荷を下げることができ、且つ、ダム水も節約できます。混ぜれば再利用し難くなる、分ければ再利用し易い。これは廃棄物と一緒ですね。