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工場放流水の「色」「泡」対策

工場放流水の「色」「泡」対策

1日50m3以上の排水を公共水域に放流する会社は、水質汚濁防止法の特定工場となり、保健所に届出が必要です。届出書には、放流水質(PH、COD濃度、SS濃度、窒素・リン濃度、放流水量)の届出値を記載する他、放流場所を示す図面も添付します。

これらを順守して操業するのはもちろんですが、順守していても住民からクレームを受けるのが、「色」、「泡」です。これには基準が無いので行政指導されませんが、住民からクレームを受けるのは気持ちがよくありません。状況に応じ、最適な対処しましょう。

「色」の対策

製紙工場の場合、「色」の原因は、紙を着色した時に発生する染料排水起因が多いです。工場排水は排水処理設備で処理して放流しますが、「色」は除去できません。色を目立たなくする方策として、次亜塩素酸ソーダを添加します。添加量は残塩を測りながら調整しましょう。水道水の残塩濃度基準が0.1~0.4mg/ℓなので参考になります。

「泡」の対策

「泡」の原因は様々です。定期修理で系内を洗浄した時は、界面活性剤の影響で泡立つ場合があります。また、洗剤を使っていない場合でも、原料タンク等の液抜きで、腐敗菌を含む残液を流した時も泡が出ます。排水経路に滝落とし場所があると、空気を巻き込み、泡の発生量が助長されます。

放流水は水質測定(PH、COD、SS、窒素・リン)していますが、泡は水質が基準内でも突発的に発生します。工場敷地外の放流水経路中の土管マンホールより泡が湧き出した時や、川や海の放流口に大量の泡が溜まっていると、見栄えが悪いので住民クレームになります。泡が立ちやすい放流水になる時は、必ず構内の滝落とし場所で泡立ちがあります。このような場所に監視カメラを設置し、常時モニタリングしましょう。

泡が確認された場合は、消泡剤添加が有効です。消泡剤には、オイル系とシリコン系がありますが、排水にはシリコン系がお勧めです。放流水には、ノルマルヘキサン抽出物という項目があり、油の含有基準があるので、オイル系消泡剤の過剰添加は禁物です。一方、シリコン系消泡剤の価格は、オイル系の数倍します。こちらも費用面で過剰添加に注意しましょう。