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FFT Waveアプリで騒音クレーム発生源調査

FFT Waveアプリで騒音クレーム発生源調査

当工場の近隣住民より「家の中まで音が入ってきて寝れない」との意見があったので、工場に案内し、該当音を確認してもらいました。配管内を流体が流れるシャー音と、機械から発生するブーン音が聞こえていますが、ブーン音が家の中に入ってくるとのことでした。そこで、ブーン音の発生源をフリーソフトFFT Waveで調査し特定しました。その調査方法を紹介します。

FFT Waveについて

FFT Waveは携帯電話にインストールできるフリーソフトです。音をリアルタイムに周波数別(0~5KHz)に分解し、dB表示してくれます。音は変化するので、波形は常時上下に変動します。0~200Hzの間の最大値と、200Hz~5KHzの間の最大値がリアルタイムに表示されます。特定の周波数の音が常に発生している時は、同じ最大値が継続的に表示されるので「点灯」しているように見えます。一方、周波数に優劣がない時は、最大値がパラパラ変わるので、様々な数値が広い周波数領域で「点滅」しているように見えます。

①発生源と思われる設備毎に「点灯」状態になる周波数を調べる②発生源と住民宅の中間地点、及び住民宅付近で①で調べた同じ周波数が検知されるか確認します。この方法で音源が特定できます。

FFT Waveは、測定一時停止機能がありません。測定中にスクリーンショットを撮り、記録します。「点灯」状態のものは1枚でよいのですが、「点滅」状態のものは何枚も撮り、最も発現が多い周波数が影響大と判断します。

発生源の調査方法と対策

今回実施した調査方法は、以下のとおりです。

1.調査方法

  • 製造設備全体と住民宅の中間地点(住民と一緒に音を確認した地点)で、FFT Waveで測定。118.4Hz、177.6Hzを検知。

  • 上記周波数の音を出す設備を探すため、ブーン音のような音を出す設備に、次々に近づきFFT Waveで確認。ルーツブロワーに近づくと118.4Hz(下図の左)、原料流送ポンプ出口配管付近に近づくと177.6Hz(下図の右)が点灯状態になった。よって、この2箇所が発生源と特定した。

2.対策

ルーツブロワーは、四方と上部を防音シートで囲い、機側の騒音値は97dB→93dBに下がりました。防音シートではこれが限界なので、今後、防音室を設置します。

原料流送ポンプ出口配管は、複数台のポンプと出口配管が共用されていました。その内、1本の配管より手で触っても容易に分かる振動が発生していました。該当配管にフレキシブジョイントを設置、また、サポートを増やし、振動対策をしました。