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夜の初め頃に発生する臭気クレーム

夜の初め頃に発生する臭気クレーム

当社では敷地境界に新コスモス電機㈱のニオイセンサーを設置し、臭気を連続監視しています。当社は臨海部に立地しているため、昼間は西から風、夜は東からの風が吹きます。よって、ニオイセンサーは臭気発生源設備を中心に、昼間の風下に1箇所、夜間の風下にもう1箇所、設置しています。臭気発生源設備からニオイセンサーまでの距離は約300mです。

これまで、この2箇所のニオイセンサーとアメダスの風向・風速で監視が出来ていました。ところが、6月28日の20:40頃、当工場から2kmほど離れた場所の市民より臭気クレームが発生した時、その方向に設置しているニオイセンサーが反応していませんでした。東北東からの風0.7m/sで、クレームがあった場所が風下になっていたものの、ほぼ無風状態でした。当工場で操業異常は無く、社員が21:00頃、現地確認したものの、臭いは現認できませんでした。 これらの根拠より、当初、当社要因の可能性は低いと結論づけていました。

ところが、翌日、本件を社内で共有すると、社員より同場所付近で臭気を感じたという情報提供が、複数ありました。臭いの原因は当社にあると確信し、どういう現象で本件が発生したのか、調査を行いました。

結果、以下を結論としました。 ・今回の臭気源は上空に滞留したものが、日没後に発生する風向きの変化(西→東)で、大気が搔き混ぜられ、2km離れた地域に落下した。(敷地境界のニオイセンサーを飛び越して臭いが落下したので、反応しなかった)

調査結果

臭気クレームが発生した地域は、東北東からの風が吹くと、当工場の風下になります。 社員からの情報「ここ数日、19時~21時に臭うことが多い」を元に、6月の東北東からの風の発生時間帯、風速、湿度を分析しました。結果は以下のグラフです。

19時~21時に東北東からの風が出現した箇所は、棒グラフを赤色にしています。6月23日、24日、28日に出現しています。湿度は何れも約80%。6月の日没は19時頃なので、19時~21時頃は、風向きが西→東に変わる途中で、大気の動きが不安定になります。また、湿度が高いので臭気を含む水蒸気は大気拡散しにくい状態です。 社員が、ここ数日、この時間帯に臭うと言っていた謎が解けました。

さすがに2km先の公共の場にニオイセンサーは設置できないので、臭った時は社内チャットに情報を投稿してもらうようにしました。(これはあまり期待していません。経験上、よっぽど臭いときにしか投稿は来ません。)

大気拡散に頼って放出している臭気を含む水蒸気を減らす対策を、地道に進めなければ、この問題は解決しないことを改めて再認識しました。