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センサーガスクロとニオイセンサー徹底比較(硫黄系悪臭3成分)

センサーガスクロとニオイセンサー徹底比較(硫黄系悪臭3成分)

悪臭防止法では、工場には1号基準(敷地境界臭気)、2号基準(気体排出口臭気)、3号基準(排出水臭気)の悪臭物質強度・濃度基準があります。1号基準と2号基準は気体をサンプリングしガスクロ分析します。3号基準は排水をサンプリングし揮発させた気体をガスクロ分析します。 何れも数か月に1度、大気は数十秒程度、排水は数リットル程度のサンプリングで評価するだけなので、これが代表値なのかは疑問があります。 なぜなら、敷地境界で検知される臭気は、風向きや天候によって大気拡散が変化するので、それによって濃度も変わります。気体の排出口臭気や排出水臭気は、工場の操業条件で変化しています。実態を掴むには、連続測定が必須です。 臭気を連続測定できる測定機(センサーガスクロとニオイセンサー)の精度を比較してみました。

センサーガスクロとニオイセンサーの比較

1.使用測定機

・NISSHA製    センサーガスクロマトグラフ

・新コスモス電機製 ポータブル型ニオイセンサーXP-329ⅢR

2.測定場所: 硫黄系悪臭物質(硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル)排出場所の風下

3.測定期間: 24時間

4.測定結果 1)センサーガスクロ(5分毎のバッチ連続測定)

2)ニオイセンサー(1秒毎の連続測定)

5.考察

1)センサーガスクロは、昼間に測定値が上がり、夜間は下がった。ニオイセンサーは夕方から夜間に断続的にピークが出たが、昼間はピークが出なかった。

2)昼間、測定機設置場所は、臭い発生源の風下になっているので、センサーガスクロの方が実態にあった測定値になっている。悪臭3物質の合計値が10ppb以下の領域では、ニオイセンサーは臭気を感知できていない。

3)悪臭防止法の1号基準(敷地境界臭気)は臭気強度2.5~3.5に対する物質濃度で、臭気強度2.5は、硫化水素20ppb、メチルメルカプタン2ppb、硫化メチル10ppbに相当。センサーガスクロ測定値において、昼間にメチルメルカプタン2ppb超えの時間帯があったが、ニオイセンサーでは検知できていない。

6.コスト

1)ニオイセンサ-    30万円/台、維持費(整備費)20万円/年

2)センサーガスクロ 300万円/台、維持費(整備費)20万円/年

7.総評

クレームになるような強い臭いを検知したいならニオイセンサーで十分です。しかし、臭気強度2.5に相当するメチルメルカプタンを検知したい場合は、センサーガスクロでないと目的とする測定はできない。工場のニーズに合わせて臭気連続測定機を選定するとよい。

※メチルメルカプタン2ppbは、車から下車した時に一瞬 臭うが、鼻が慣れすぐに分からなくなる程度の臭いです。