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産廃取引先 現地確認の重要性

産廃取引先 現地確認の重要性

廃棄物処理法には以下の規定があり、産廃委託先の処理状況確認が義務付けられています。産廃発生量が少ない会社ほど、この義務は守られていないのが実情です。ごみは回収してくれたら、それで良しとしていたら、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。なぜなら、産廃委託先が、そのごみを不法投棄した場合、原状回復費用を産廃委託先が支払えないと、排出事業者にも費用負担が生じる恐れがあります。このような事態を避けるため、処理状況確認は必ず実施するようにしましょう。本コラムでは、処理状況確認方法について解説します。

廃棄物処理法第12条第7項抜粋)
事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

産廃委託先の処理状況の確認方法

産廃委託先の処理状況の確認は、以下の方法があります。確認頻度やチェック内容は、廃棄物処理法に定められておらず、各事業者に委ねられています。確認頻度は社内基準で年1回にし、契約更新前までに実施するルールにしておくと、継続し易くなります。チェック内容は環境省が公開しているリストが参考になります。(下記リンク参照)
https://www.env.go.jp/content/000126051.pdf

  1. 現地へ行って確認する(リモート確認も可)
  2. 優良産廃処理業者認定制度に基づく開示情報で確認する

1.現地へ行って確認する

委託先の産廃処分業許可証を元に現地へ行って、現場現物で確認するのが最もよい方法です。
産廃処理場で最も気をつけなければならないのは、近隣住民と騒音や臭い等のトラブルを抱えていないか、大気汚染防止法水質汚濁防止法の基準を超えるような排ガスや排水を放出していないか、です。処分場周辺に住民と対立しているような立て看板や旗が立っていたり、悪臭や汚染水が流れているような状況があれば、産廃委託するのは止めましょう。これらは現地に行くと一目で分かります。環境省推奨のチェックリストに基づきチェックするのは、二の次です。

2.優良産廃処理業者認定制度に基づく開示情報で確認する

優良産廃処理業者認定制度とは、環境省の認定基準に合致した産廃業者に「優良」を与える制度です。認定基準は以下です。「優良」を取得した産廃業者の許可証には、㊝のマークが入っています。

認定基準概要 内   容
実績と遵法性 5年以上の事業実績があり、その間に改善命令等の不利益処分を受けていないこと。
事業の透明性 許可の内容や過去3年間の処分の受託量など定められた情報をインターネットで一定期間継続して公表していること。
環境配慮の経営 ISO14001エコアクション21等の認証を受けていること。
電子マニフェスト 排出事業者から要望があった場合に電子マニフェストが利用可能であること。
健全な財務体質 自己資本比率や経常利益等が一定の基準を満たしていること。

認定基準「事業の透明性」に、インターネットでの情報公開があります。優良事業者認定を取得した産廃業者は、(公)産業廃棄物処理事業振興団体が運営する「産廃情報ネット」で、求められている項目を情報公開しています。排出事業者は、この内容から環境省のチェックリストを埋め、産廃処理状況の確認を行う方法です。

条例で、優良事業者認定を取得している産廃業者の処理状況確認は省略できると明記している都道府県もありますので、一度、確認してみるとよいでしょう。

産廃契約締結・更新の社内決裁ルールを決めましょう

産廃業者の処理状況確認結果は社内の会議体で報告され、産廃業者との新規契約や、契約継続を会社として決裁するルールを決めておきましょう。
産廃契約書には社長や工場長等、然るべき立場の人が捺印しますが、定期的な現地確認結果や、継続可否判断等は、担当者任せになっている会社があります。そのような会社は、産廃委託先がトラブルを起こし、自社もそれに巻き込まれてから対処するような事態になります。現状復帰費用を負担するようなことになれば、経営に多大なダメージを受けます。
産廃は法令違反で検挙される数が最も多い環境法令です。産廃契約締結や更新時は、必ず産廃処理状況の確認結果を社内審議し、決裁するプロセスを踏むようにしましょう。これが産廃リスクを重要視している会社の姿勢を、社員に示す機会にもなります。