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台風が敷地境界臭気に与える影響

台風が敷地境界臭気に与える影響

当社では工場周辺の定点10箇所で月1回、悪臭4成分(硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル)をガスクロで測定しています。内、2箇所は重点モニタリングポイントとして週1回、測定しています。 8月、9月の測定において、他の月より高めに出る日が多くありました。今年は8月頃から毎週のように台風が発生しており、測定値が高めに出た日は、雨天ではないものの必ず台風が近くを通過していました。 これまで、あまり気にしていませんでしたが、敷地境界の臭気は、かなり台風の影響を受けているようです。

臭気測定日の気圧配置

8月(8/3、8/14、8/21)と9月(9/8)の臭気測定日の気圧配置は、下図のとおりでした。何れの日も、日本列島の近くに台風があります、この内、敷地境界の複数個所で臭気協定値超過が発生したのは、8/14、8/21、9/8でした。この日は、何れも台風が日本列島の南側に位置していました。

台風(低気圧)の上昇気流は、周辺に下降します。この下降気流が発生している時は、工場で大気放出している臭気排気が上方に拡散する力が弱まり、地表で臭気が検出されやすくなります。

台風の影響を考慮した臭気対策法

大気拡散させている臭気は、敷地境界で悪臭防止法の基準濃度以下であればよいです。臭気発生源から敷地境界までの距離が遠ければ、その間に希釈されるため、発生源の臭気濃度は高くてもよいことになります。

まず、発生源毎の臭気濃度を測定しましょう。悪臭4物質の悪臭防止法 基準濃度は、硫化水素0.02ppm、メチルメルカプタン0.002ppm、硫化メチル0.01ppm、二硫化メチル0.009ppmです。メチルメルカプタンの基準濃度が最も低いので、発生源濃度も低くしなければなりません。敷地境界から200mほど離れた場所で、高さ20mから放出した臭気は、おおよそ1,000倍希釈で敷地境界に到達します。よって、発生源のメチルメルカプタン濃度は2ppm以下にする必要があります。

発生源濃度を下げる方法は、イニシャルコスト、ランニングコストを考慮の上、最適な方法を選択しましょう。自社にボイラーがあれば、燃焼エアに混ぜて焼却分解するのが最も安価です。薬品を使った脱臭スクラバー方式は、ランニングコストがかなり掛かりますが、他に方策がない場合は、法令順守の観点から対応せざるを得ないでしょう。コスト重視で運営していると企業イメージが低下し、結果的に商品が売れなくなり存続の危機に陥ります。