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廃棄物処理法の不思議(同じものが産廃? 有価物?)

廃棄物処理法の不思議(同じものが産廃? 有価物?)

廃棄物処理法では、不要なものを他人に処分委託する時は、産廃処理委託契約書を書面で締結しなければならないと規定されています。裏を返せば、排出者にとって不要でも、他人が必要であれば、前述の規定は守らなくてよいということです。判断に迷った時は、必ず最寄りの保健所に相談し、指示に従うのが無難です。私がこれまで経験した事案より産廃or有価物の判断の考え方を紹介します。

廃棄物処理法に明記されている有価物(専ら物)

廃棄物処理法に「専ら物(もっぱらぶつ)」という表現が出てきます。正式には「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物または一般廃棄物」と言います。廃棄物の中で専ら再生利用を目的とする、古紙、金属くず、空きビン類、古繊維を指します。これらは廃棄物処理法の許可がなくても運搬や処理ができますが、焼却や埋め立てすると対象外になるので注意が必要です。

専ら物を買い取っている場合

これらを買い取っている場合は、廃棄物処理法の適用外になるので、一般的な原材料と同様に自由に取引できます。

専ら物を無償回収している場合

スーパーの店頭に古紙の回収BOXを設置し、買い物客から無償回収しているケースがあります。この場合、回収BOX設置等、回収に掛かる経費を回収業者側が負担しているので、買い物客との間に直接的な金銭授受はないものの、買い取り扱いになります。

専ら物の処理に費用を払っている場合

ビニールを貼合している古紙等、紙の原料に再生が困難なものがあります。これを焼却する場合、処理費が発生します。すると廃棄物処理法に従い、委託契約書の締結が必要になります。

総合判断説で産廃or有価物を判断

総合判断説とは、①性状、②排出の状況、③通常の取扱い形態、④取引価値の有無、⑤占有者の意思、を総合的に評価し、廃棄物か有価物かを判断する方法です。企業は廃棄物をなるべく有価物扱いにし、処理費削減を考えています。これを保健所に相談すると、必ず総合判断説で評価し説明に来るよう求められます。

総合判断説は、①~⑤に沿って正直に評価すると廃棄物になってしまうケースが多いです。それでも企業側は有価物にしたいので、こじつけで「当社は有価物と考える」という評価を保健所に提出し交渉を開始します。

焼却している廃棄物を燃料扱いにしたい場合

・現在、焼却処理している廃棄物をそのまま、燃料価値があるので有価物にしたいと交渉に行った場合は、勝率ゼロです。 ・固形化燃料(RPF)を作って、それを燃やす場合は勝率100%です。 ・固形化燃料は、通常、破砕し圧縮固化し製造します。破砕のみ行ったものを燃料(有価物)として扱う場合の勝率80%です。(各都道府県の保健所により判断がばらつきます。)

焼却以外の用途に廃棄物を利用したい場合

廃棄物を焼却以外の用途に利用する場合、保健所から有価物と認めてもらえる勝率は格段に上がります。 ・製紙会社の排水処理汚泥を古紙代替や、製鉄会社のフォーミング材代替に利用 ・樹皮をバークたい肥原料に利用 ・半導体製造会社から発生する廃硫酸を、排水処理設備のPH調整剤に利用

上記を参考に、廃棄物を有価物として認めてもらえる再生利用方法を開拓し、保健所と相談の上、有価物に切り替えていくことをお勧めします。