混同し易い環境影響評価の種類
混同し易い環境影響評価の種類
新たに事業を行ったり、変更する時は、それが環境に与える影響を事前に評価する規定が、各法令毎に定められています。環境影響評価には、膨大な時間とお金が掛かるので、新たな事業を行うときは、これを考慮しておかないと、稼働時期や事業計画に誤算が生じる恐れがあります。 環境に与える影響を事前に評価するという目的は同じでも、それを定めている法令によって実施方法や手続き方法が違います。混同しないよう注意しましょう。
環境影響評価法
環境影響評価法で、規模が大きく環境に影響を及ぼす恐れがある事業について、事前調査を行い許可を得てから着工することが定められています。対象事業は以下です。(引用:環境省パンフレット)
事業を計画し許可を得るまで3年程度、掛かります。①環境影響調査の方法を決め、②1年間、調査を実施、③調査結果を踏まえ環境影響を予測し事業計画を決定、④許可取得、します。①~④の過程で2度の審査会と公告縦覧、意見聴取があります。また、事業開始後の事後調査もあります。
費用面では、事業費以外に、環境影響評価のコンサルタント費も1億円以上、掛かります。環境影響評価に3年、建設工事に3年とすると、事業開始は6年後となります。その間に、社会環境が変わってしまう可能性もあります。事業者にとって非常にリスキーな法律と言えます。
県環境影響評価条例
国の環境影響評価法に上乗せし、各県で環境影響評価条例を制定しています。下表は、愛媛県の対象事業一覧です。手続きは環境影響評価法とほぼ同じです。審査の主体が、国か、県かの違いです。
廃棄物処理施設 生活環境影響調査(廃棄物処理法)
廃棄物処理法の以下の産廃処理施設を設置する際、生活環境影響調査が義務付けられています。
「焼却施設」「最終処分場」「その他の施設」別に、生活環境影響調査手法のガイドラインが環境省より発行されています。このガイドラインに沿って調査し、産廃処理施設設置許可申請書に添付します。排ガスや水が絡む「焼却施設」「最終処分場」は、現況調査に1年間掛かるケースがありますが、環境影響評価法のように調査方法の審議等がない分、許可取得までの期間が短くなります。「焼却施設」「最終処分場」は2年、「その他の施設」は1年くらいで取得できます。調査のコンサルタント費も環境影響評価法の半分くらいで済みます。
大気汚染防止法、水質汚濁防止法の特定施設に関わる環境影響調査
大気汚染防止法のばい煙発生施設から発生する排ガス量が増加する時や、水質汚濁防止法の特定施設を設置することで工場からの放流水量が増加する時に、事前に影響評価することが、各県で義務付けられています。
愛媛県の場合、排ガス量が10万m3/h以上、排水量が1万m3/日以上、増加する事業は、県環境影響評価条例の対象となります。それ未満のものは、影響をシミュレーションした資料を申請書に添付すればよいです。シミュレーション期間に数か月、費用も100万円以下くらいで済みます。