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産廃処分委託契約書作成のコツ

産廃処分委託契約書作成のコツ

廃棄物処理法で、産廃処理を他人に委託する時は、契約を書面で交わさなければならないことが定められています。

〈施行令 第6条の2第4号〉
委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。

産廃委託契約書は、公益社団法人 全国産業廃棄物連合会作成の標準様式を使うのが一般的です

産廃委託契約書の雛形

契約書雛形に記入する時のポイントを以下に解説します。

処分委託契約書作成のポイント

第2条(委託内容)、1(乙の事業範囲)

「処分に関する事業範囲」には産廃処分業者が取得している許可内容を記載しましょう。委託する産廃の種類を事業範囲の欄に記載しましょう。すべての欄に"許可証のとおり"と記載するのは、あまりお勧めしません
産廃と特管で許可証が違います。両方を委託する場合は、それぞれ別欄に記載しましょう。

第2条(委託内容)、2(委託する産業廃棄物の種類、数量、単価)

産廃の種類は、許可証と同じ言葉で記載しましょう。
数量は、おおよそでも構いません。
単価は、上段の数量の単位と合わせましょう。契約に第三者が介入し、口銭が発生することがあります。この場合、口銭を含んだ単価記載は、廃棄物処理法で禁止されています。口銭は覚書に明記しましょう。
・甲、乙、第三者間で口銭が公になっている場合は、上記の方法でよいのですが、排出事業者に口銭非公開で契約するケースの方が圧倒的に多いです。その場合、法的にグレーになってしまいますが、本基本契約書に口銭込みの単価を記載せざるを得ません。口銭抜きの単価を、第三者(代理店)と処理業者の覚書で明確にしましょう。
・数量と単価を掛けた額が、本契約書の請負額になります。その請負額に応じた印紙を表紙に添付する必要があります。通常、契約数量は「100t/年」等と記載しますが、100t/年~200t/年としても構いません。その場合の本契約書の請負額は、"100t/年×単価"になります。

第2条(委託内容)、4(処分の場所、方法及び処理能力)

処分委託する産廃を処理してもらう事業場名、住所、処分の方法、処理能力を許可証から転記しましょう。敷地に複数の住所がある場合産廃処分許可証には、処理施設毎に住所を記載しています。その場合は、事業所の代表住所を記載するとよいでしょう。
産廃の種類は、委託する産廃業者の許可証に記載されている名称と同じ言葉で記載しましょう。
・各項目に「許可証のとおり」を多用している事例がありますが、あまりお勧めしません。

第2条(委託内容)、5(最終処分の場所、方法及び処理能力)

最終処分とは、埋立て処理のことです。例えば、今回、パレットの破砕処理(中間処理)を委託するとします。破砕後の木くずは燃料になります。木片付きの釘等の残渣は、中間処理業者のごみとして、埋立て処分業者に委託されます。この場合、第2条5には埋立て処分業者の情報を記載します。

処分委託した産廃を中間処理する過程で、一切、埋立て処分する残渣が発生しない場合、ここへの記載は不要です。その場合、「甲から、乙に委託された産業廃棄物は全量、有効利用されるため最終処分はない。」と雛形の文言を変更します。

第2条(委託内容)、6(搬入業者)

本契約に関わる収集運搬業者の情報を記載します。県内で処分する場合は、その県の収集運搬業者の許可証の情報を記載します。県外で処分する場合は、排出事業者の県と、処分業者の県の両方の情報を記載します。「許可証のとおり」の記載は極力せず、許可証の該当事項を具体的に記載することをお勧めします。

第3条(適正処理に必要な情報の提供) 5項

産廃に含まれる金属等の検定方法」による試験を行い、分析証明書を乙に提出する、「産廃の種類」「提示する時期又は回数」は以下のように記載しましょう。
産廃の種類」は、委託する産廃の種類を、許可証の言葉で記載しましょう。
「提示する時期又は回数」は、「乙の要求に応じ」と記載しましょう。乙と「年1回〇月に提示」等の合意がある場合は、そのように記載しましょう。

第9条(報酬・消費税・支払い)

ここは各社が処理委託料支払いについて、自社の業務スケジュール等を鑑み条項を修正します。
・委託重量は、甲乙どちらの検量機を正にするか明記しましょう。
・1項の「毎月一定の期日を定めて処分業務の報酬を支払う」の、"一定の期日を定めて"は、双方、トラブルが発生しないよう、もっと具体化しておきましょう。「毎月、第3営業日までに前月の請求書を乙から甲に提出する。甲は当月月末までに請求書に基づき費用を支払う。銀行振込み手数料は甲が負担する。」のような記載にするとよいです。

報酬の支払いについて、稀に三者(代理店)が介入するケースがあります。三者を「丙」とし、本契約を締結すると廃棄物処理法違反になるので、第三者の名称を具体的に記載し、本契約との関りを明確にしておきましょう。(廃棄物処理法では、委託契約書は2者間で締結するよう定めています。)

文末

「本書2通を作成し、甲乙、各1通を保管」は、「本書1通を作成し、原本は甲が、乙はその複写を保管」でもよいです。そうすると表紙に添付する印紙が1枚で済み、費用を削減できます。印紙額は甲乙、折半しても構いません。

また、近年、電子契約も多くなってきています。その場合、「それぞれ電子署名を行い、各自その電磁的記録を保管する。なお、本契約においては、電子データである本電子契約書ファイルを原本とし、同ファイルを印刷した文書はその写しとする。」という文面に修正するとよいでしょう。電子契約は印紙不要です。