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産廃委託契約書の印紙額の解説

産廃委託契約書の印紙額の解説

廃棄物処理法で「他人に産業廃棄物を処理委託する時は、書面で契約書を締結しなければならない」となっています。契約書が紙の場合、印紙税法で契約金額に応じた収入印紙を添付しなければなりません。産廃契約には様々なパターンがあり、印紙額に迷うことがあるのではないでしょうか。役所に聞いても、廃棄物処理法は保健所、印紙税は税務署が管轄しており、総合的に判断してもらえない場合が多々あります。私がこれまで経験した契約パターンと印紙税額について解説します。

産廃委託契約書の印紙税額の基本

産廃委託契約書には「収集運搬委託契約書」と「処分委託契約書」の2種類があります。これらを一つにまとめた「収集運搬・処分委託契約書」もあります。印紙税法で、契約書には契約金額に応じた収入印紙を添付することが定められています。 「収集運搬・処分委託契約書」の場合は、下表でどちらか高い方の額の収入印紙を貼ります。 基本契約書に「原本を2部作成し双方が保管する」と記載されている場合は、同額の印紙をそれぞれの基本契約書に貼る必要があります。少しでも節税したいので、「原本を1部作成し甲が原本、乙はその複写を保管する」とし、原本の印紙を両社で折半するとよいでしょう。

契約金額 収集運搬 委託契約書 (1号の4文書) 処分 委託契約書 (2号文書)
1万円未満 非課税 非課税
10万円以下 200円 200円
50万円以下 400円 400円
100万円以下 1,000円 1,000円
500万円以下 2,000円 2,000円
1,000万円以下 10,000円 10,000円
5,000万円以下 20,000円 20,000円
1億円以下 60,000円 60,000円
5億円以下 100,000円 100,000円
10億円以下 200,000円 200,000円
50億円以下 400,000円 400,000円
50億円を超えるもの 600,000円 600,000円
契約金額の記載がないもの 200円 200円
解約の場合 不要 不要

7号文書 継続的取引の基本となる契約書 4,000円

判断に迷う契約形態

私がこれまで経験した産廃委託契約書に以下のようなものがありました。

処分費ゼロの処分委託契約書

100トンの産廃を処分費0円/kgで契約する場合、契約金額は0円になります。上表を参照すると、契約金額1万円以下は非課税となっています。しかし、この場合は、契約金額が計算できない契約書となり、7号文書=印紙税4,000円となります。

数量と単価の単位が違う収集運搬委託契約書

100トン/年の木くず(パレット等)を、単価:2万円/車で収集運搬契約することがあります。この場合、単位が違うので契約金額が計算できないとして7号文書扱いにするのは間違いです。本契約での運搬形態「1車当たり2トン積載」等から車数を計算し、契約金額を算出しましょう。

基本契約書に委託量、覚書に単価を記載している委託契約書

基本契約書に単価は「覚書のとおり」と記載され、覚書に「〇年〇月〇日の基本契約書〇条〇項に基づき、覚書を締結する」等の記載がある場合、一見、基本契約書と覚書に関連性があると思われがちですが、国税庁の見解では、関連性が無いと判断するようです。 この場合、基本契約書は契約金額が計算できない7号文書扱い(印紙4,000円)になります。また、覚書も単価しか書かれてないので、契約金額が計算できない7号文書扱い(印紙4,000円)になります。

上記は、国税庁に実際の文書を送付して見解を聞かないと、正しい回答が得られません。電話で最寄りの税務署に問い合わせると、基本契約書と覚書に関連性があると判断され、基本契約書に記載された取引数量と、覚書の単価を掛けた契約金額に相当する印紙を貼るよう指導されます。また、国税庁HPのガイドラインを見ても、上記のようなケースは、基本契約書と覚書を一体と考えるよう記載されています。世の中に両方の見解が入り乱れ、論争になるのは、国税庁の曖昧なガイドラインが原因と思われます。不毛な論争を避けるには、印紙が不要になる電子契約書の導入がお勧めです。

過少額印紙添付の契約書の是正方法

国税局に確認したところ、印紙額が過少なことに気づいた時、正しい是正方法は「税務署に報告の上、規定額の1.1倍の印紙を貼り直す。(現在、添付している印紙は無効となる。)」のようです。 一方、国税監査で指摘された場合は、規定額の3倍の印紙を貼り是正するそうです。会社には多くの契約書があるので、その中から、たまたま産廃委託契約書の印紙代 間違いが見つかる確率は低いとは思いますが、過少印紙額に気づいた時は、早めに契約書の巻き直しを行った方がよさそうです。

過大額印紙添付、又は貼り間違えた時の是正方法

誤って規定より高額の印紙を貼ってしまった時、又は貼り間違えた時は、税務署に申告すると、その分は返金してくれます。剥がすと無効になるので、そのまま該当契約書を税務署に持参しましょう。