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ISO14001内部監査 指摘事項実例(ISO実務日記①)

ISO14001内部監査 指摘事項実例

私の会社では、まず親会社内でISO14001とISO9001を統合し、その後、グループ会社に展開してきました。直近3年間でグループ十数社が親会社のISOの閣下に入り、活動しています。 年1回のISO内部監査は、各社の事務局が社内各部を行い、親会社は各社の事務局を監査する体系にしています。 本年の親会社によるISO内部監査では、法令順守評価の管理方法産廃保管管理に関する指摘事項が目立ちました。その実例を紹介します。

法令順守評価 管理方法に関する不備事例

法令順守管理は実務者以外、あまり知らないケースが多々あります。この場合、実務者が退職したり人事異動した時に、測定や届出が抜け落ち、法令違反を起こすリスクがあります。規制体系一覧表星取管理表等、法令順守するためのツールを整備しリスク対策をしておきましょう。

事例1: 規制体系一覧表に都市ガス専焼ボイラー排ガスの窒素酸化物、ばいじんの基準値、測定頻度等の大気汚染防止法要求事項が未記載

事例2: 放流水を工業団地の専用下水道に流しており、管理団体よりSSと硫化水素濃度の報告を求められ、毎月、書面で提出している。しかし、規制体系一覧表に、これらの基準値や測定頻度、提出先が未記載

【不備が発生した要因】 1)規制体系一覧表に、要求事項を全て盛り込むという意識で作成していない。 2)親会社の規制体系一覧表の様式をベースに事務局がとりまとめし作成しているが、実務者が複数おり業務の実態を規制体系一覧表にまとめきれていない

【指摘のポイント】 環境法令に関わる業務は特定の人だけが実施しており、事務局が全体像を把握しきれていないケースが散見されます。人が替わった時に抜け落ちても誰も気づかず、知らないうちに法令違反となっており行政から指摘を受けるリスクがあります。規制体系一覧表で事務局が管理できる体制を整えましょう

事例3: 規制体系一覧表に記載している要求事項が実行できているか、年間星取りスケジュールで管理している。都市ガス専焼ボイラーの窒素酸化物、ばいじんの測定予実績が未記入。また、フロン機器の定期点検が星取り表から抜けている。

【不備が発生した要因】 1)都市ガス専焼ボイラーの窒素酸化物、ばいじん測定は、大気汚染防止法の要求ではなく、自主管理項目と実務者が勘違いしていた。 2)星取管理表は予定月に〇が入っており、実施したら●に変える運用になっていない。予定の〇がなく担当者が月々、実績のみ記入する運用のため、未実施でも気づきにくい管理表になっていた。 3)改正フロン法は5年ほど前に施行された法律で、新法を管理表に追加する運用になっていない

【指摘のポイント】 星取管理表は実務者と管理者が互いにチェックし合えるツールです。規制体系一覧表と星取管理表を突き合わせ、項目に抜けがないか確認しましょう。次に星取管理表は、項目毎に実施頻度を明記すると共に、その頻度に該当する月に予め計画の〇を入れ、スケジュールを明確にしましょう。 環境法令は年々、規制が強化されています。新たな要求事項を星取管理表に追加し、測定や届出漏れを予防しましょう。要求事項の頻度が3年毎、5年毎の項目があります。当該年度に確実に年度星取管理表に反映できるよう明記しておきましょう。

産廃保管管理に関する不備

産廃は見た目が同じでも「有価物」になるケースがあります。紙くず、廃油、スクラップは特に要注意です。産廃」は廃棄物処理法の規制を受けるが、有価物は受けません。法的な取り扱いが全く違うので、その場にごみを捨てる社員全員が理解していないと、知らない間に法令違反になっているリスクがあります。産廃は法定表示(60cm×60cm)有価物は社内表示にし、社員に同じごみでも2種類あることを視覚的に意識づけするのも一つの方法です。内部監査の機会に産廃置場をチェックし、社員の理解度を確認して現場現物で教育していきましょう。

事例1: 廃油置場に「産廃処理している廃油」と「売却している廃油」がある。その置場に産廃法定表示板(60cm×60cm)を設置しているが、品名欄に「廃油」「有価物」と表記している。「有価物」は産廃ではない。 【不備が発生した要因】 1)同じ廃油でも不純物混入が少ないものは売れる。有価物は廃棄物処理法に該当しない。産廃委託契約書やマニフェストも不要。取り扱い法が全く違ってくるが、この理解が浅く産廃法定表示板に「産廃廃油」と「有価物廃油」を併記していた。 【指摘のポイント】 スクラップや廃油等、見た目は同じだが内容物により有価物になるものがあります。有価物と産廃は法的に扱い方が変わります。全員が理解し廃棄物を分別しないと、売れるものが産廃となったり、無許可業者に産廃を委託してしまうリスクがあります。

事例2: 工場の産廃を一か所にまとめガレージ(間口20m×奥行3m)に保管している。そこには有価物「古紙」「スクラップ」「有価プラスチック」も一緒に保管されている。産廃法定表示板は1枚のみで、保管している産廃名「廃プラ」「紙くず」「混合物」「水銀含有廃棄物」を品名欄に表記していた。それぞれの保管物と表示板の記載物を照合すると、不一致がある。 【不備が発生した要因】 1)複数の産廃を一つの法定表示板にまとめていても、個々の保管物を見て何か判断できるという風潮がある。産廃を管理している実務者が分かっているので、他の人も分かるという思い込みがある。広いガレージに複数の産廃を保管する場合は、個々の置場ごとに産廃法定表示を付け、若年者でも容易に分かる保管環境にしておくべき。 【指摘のポイント】 上記、事例1と同じ。